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ケンの気まぐれ日記

06/12/26 ディープインパクト…

突然ですが皆さん「エアフロメーター」ってご存知ですか? エアクリーナーの後ろにあるパーツで「エンジンに入る空気の量」を量る部品です。簡単に説明すると

この部品は筒状になっていてその中心に電球のフィラメントのようなセンサーがあり、電気を流すとフィラメントが熱くなります。筒内に空気が通るとフィラメント部が冷やされてセンサー内の電圧が変化します。この電圧の変化を見て空気が流れている量を判断しますが冷やされるほどエンジンが空気を多く吸入しているという判断になります。

(上記はホットワイヤー式の概要です)

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「ふぅ…」 伊東自の作業も終わりPCにてお客様との連絡も終え、一つため息をつき家路に着きます。

今日の東京地方は一日中雨が強くて台風の接近を思わせる降りでした。

そそくさと車に乗り込み土砂降りの中慎重に運転しながら家を目指します。家の近所まで来ても相変わらずでフロントガラスに雨が激しく叩きつけられています。

いつものコンビニの交差点を曲がろうとすると何と横断歩道を水が横切りまるで渓流のようになっています。「おぉ、すげぇな」と言いながら左折すると目の前に湖が出現。道路全面が冠水してます。ちょっと待てよぉ…。と一旦停止するも道路中央は浅そうです。

「何とかなるだろ」と楽観視。車を進めて入水します。

ザワザワ〜ジョワワ〜 うほーぃ ボートだぜ!

子供のようにはしゃぎながら進んでいきます。

すると30mほど進んだところで突然深くなりました。

左右にラッセルしていた水が今度はフロントバンパーから水柱状に垂直に上がっています。車体に受ける水の抵抗も増え失速しそうになります。1速で進みながら道路脇に目をやると民家の玄関先まで冠水してます。

「ふ、深いじゃねぇか…。やばい、マジやばい…」

ケンの車の最低地上高は約12cm。フロア高でみても約20cm。ただ今の水深はどう見ても30cmはあります。 ホントにボートじゃん…。

自分の車を横から見た図を想像するとこれはどう考えても緊急事態です。水溜りはまだ先が長くあと70mほどあります。急がねばと車速を上げると垂直に上がっていた水がさらにグワワ〜と持ち上がり次の瞬間ドバーッと津波のようにフロントガラスめがけ襲ってきました。 ボバッ!軽い振動と同時にエンジンストップ!

「クソッ、エアフロが水を吸いやがった…」

ケンの車はエアクリーナーが剥き出しになっておりその下はボディを大きくカットして穴を開けています。

このほうがエンジンが冷たい外気を吸えるのでスポーツ走行にはいいのですが〜。大雨の水溜り突破後なんかはエアクリーナー、エアフロが濡れてエンジンが吹けなくなる時がこれまでもありましたが…。

エアフロが濡れると先述の通りセンサーが急に冷やされて空気量の計測に誤作動が生じエンジンの燃料調整が正確に制御できません。センサー冷える→アクセル開くと判断→ガソリンを多く出す→実際はアイドリング程度→プラクがかぶる→エンジンかからない。という図式です。(多分ね)

冬場にプラグが完全にかぶったら二度とエンジンはかかりません。最悪はその場で取外す事になります。

状況は変わらずディープゾーンで立ち往生です。

キュッキュッキュッキュッ…。「かかってくれぇ〜」と

安いアメリカ映画のワンシーンにありがちな感じでセルを回すもプラグの火花が飛びません。マジで大量に水を吸ったか?ウォーターハンマーしたら?車内は浸水してる?電装系は大丈夫か? バッテリが小さいからセルはあまり使えない…。いろいろな考えが頭の中を回ります。

ボッボッボッボッ バーン! ブロロン、ボバッ、ブボッ

何とか再始動ができましたがすぐにまたエンスト。

エアフロ不調で全然エンシンが回りません。どうにかアクセルを吹かし続けて始動して水を押し進み浅瀬に脱出!もう心臓ドキドキです。

「こんな深いのは初めてだ…」

路肩によりエンジンの回転が落ち着くまでアクセルを煽ります。時間は午前12:30 非常に迷惑です…。

早く帰ろうとさらに先を進むとなんとまた川!脇道もすでに冠水してます。今度こそ大丈夫だと言い聞かせて道路センターは浅いぞと真中を進むも…またしてもエンジンストップ!「何てバカな俺!さっき大変だったのに!」 やはり水深はディープです。

あ、コレはケンのような車高の低い車だけのお話であって普通の車はさっきからケンの横をザバーッと通って行ってます。立ち往生は俺だけ…。

何とか再始動して「クソーッ、通行止めにしとけよ」と

毒を吐きながら突撃です。何とか再上陸(?)するも先にはまた川…。一体どこまで続くんだヨ!

どうする今晩はココでお泊り?置いて歩いて帰る?

土砂降りの中で? 後ろには戻れないし横道はさらに深そう。どーする俺!?

他車には迷惑ですが道路中央で斜め停め状態で

しばらく考え、意を決して入水!そしてやっぱりエンストです。小さなレースバッテリーの体力が心配です。

祈る気持ちで長いクランキング。ボボボ、ボとかかって

何とか長い「川区間」を抜けました。

結局、川ゾーンは5ヶ所ほどあって何回もエンスト、立ち往生して帰宅しましたがこの車に乗ってこれほどのピンチは初めてでした。 「大丈夫だろう」の楽観的な考えが遭難を招きます…。

16年連れ添った車の終り方がコレかよっ!と本気で思いました。マジで怖かったよ〜。泣きそうだったよ〜。

水没でお車を無くされた方も多くいらっしゃるかと思いますがその気持ちが少しだけ分かりました…。

年末に来て大変な目に遭いました。

 

湯船につかりながら「もう一回家の車で見に行こうぜ!」と興奮気味に話すケンを妻は脱衣所でニコニコしながら話を聞いてます。そして一言。

「なーんでそんな車に乗ってんだろうねぇ〜」

(幼稚園の先生風に)

 

お前ちゃんと話を聞けっつーの!

 

超ロングな日記がその興奮、危機度合いを物語っております。

自動車のパネルの合わせ目にはシーリング剤が塗布されていますがさすがに船のような防水性は有りません。

脱出後確認するとやはり足元にはけっこうな水溜りが出来ていました。ケンの車のフロアは鉄板むき出しなので目視にて確認出来ます。 

明日エンジンかかるかなぁ〜。



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